フラとは、ハワイの伝統的で神聖な踊りで、世界一美しい踊りとも言われています。
ハワイ語のHulaは、ハワイアンダンスの事で「踊り」を意味します。
私たちがよく口にするフラダンスはどちらも「踊る」・「ダンス」という意味になるのでハワイ語では「フラ」と呼ぶのが普通です。
『フラは心の言葉であり、ハワイアンの鼓動である』という デイヴィッド・カラカウア王の言葉にもあるように、ハワイアンの重要な表現手段であった神秘的なフラの歴史について辿っていきましょう。
■ ハワイの歴史
世界で近代化・産業革命が起きる頃、英国人のジェームズ・クックを船長とする船団が、1779年にカウアイ島に上陸。サンドイッチ諸島と名付けられたハワイも、交易の拠点として世界のと大きな関わりを持つようになりました。多数の部族から1つの国へと統一化が進む中で、ハワイ王朝が成立しました。
アメリカから来た宣教師は、自然を崇拝する精神を表したフラを、一神教であるキリストを脅かすものと断定し、当時の女王(カメハメハ大王の妻)を通じてカメハメハ2世に禁止令を出させたのです。
「自然崇拝を意味するフラは野蛮でみだらなもの」と称し、フラやサーフィンや伝統文化を約50年間もの間(1874年にデイヴィッド・カラカウア王によって、禁止令が解かれるまで)姿を消してしまいました。
(カメハメハ3世)治世下にはハワイ語がアルファベットに変わり、口頭による伝承は後に記述や印刷技術へと発展していきました。
このときに、首都はマウイ島・ラハイナから現在のオアフ島・ホノルルに遷都しました。
そして、1848年「グレート・マヘレ法」が施行され、ハワイの土地を白人たちが入手する契機となります。
1893年、リリウオカラニ女王がアメリカ人勢力に圧されて王位から退き、ハワイ王国は終わりを迎えます。
やがてアメリカ準州となったハワイで、ハワイ人たちは行き場を失い、人々はハワイ語を捨て、ハワイ人とわかる姓さえ隠そうとするようになってしまったそうです。
当時、フラは一般的には見向きもされず、一部のハワイ原住民たちの間で守られていました。
また当時の悲しい歴史もあったハワイを知る上で大変意義のある建物でイオラニ宮殿があります。ハワイでは最も有名な博物館で、ハワイを知りたいなら一度は訪れるべきです。
■ フラの大会名にもあるカメハメハ大王とは
カメハメハ大王とは長年の戦いの末、ハワイを統治した民衆のリーダーです。幼少期の名前を「パイエア」と名づけられましたが、対立している一族から逃れるため、ワイピオ渓谷に移住し、命の危険が去ってから表舞台に立ち、その名を「カメハメハ」に改名したそうです。カメハメハとは、「孤独な人」という意味を持ちます。
何故、そのような悲しい名前に改名したのか、する必要があったのかは定かではありませが、その鍵となるのは、カメハメハ大王の生まれにあったのではないかと推測されています。
実は、パイエア(後のカメハメハ大王)は、ハワイを統治する者として予言されていたのです。
勇敢な戦士は、時に孤独感を抱くことがある...そのような意味合いも込めて、パイエアはカメハメハという名に改名したのではないでしょうか。
カメハメハ大王は、戦士になるための壮絶な訓練を経て、1810年にカウアイ島の王であるアウムアリイ王に認められ、ハワイの島を統一し、王国を築き上げました。
■ フラダンスの起源
その昔、ハワイ・ポリネシアには文字というものがありませんでした。文字を持たなかったハワイの人々が神への信仰の表現や、体験、出来事を後世に伝える手段として、フラ=踊りが広まりました。 それがフラダンスの歴史のはじまりとなります。
フラは踊りとして美しいだけでなく、古来、神に捧げる神聖な踊りでもありました。 先史時代のハワイでは、フラは後世のように娯楽として踊られるものではなく、宗教儀式の一部だったそうです。
神話によると、この世で初めてフラを踊ったのは、女神ラカ。
ハワイ諸島の一つ、モロカイ島のある洞窟で女神ラカが踊った踊りが、フラの起源とされています。
また、文字を持たなかった先史時代のハワイでは、フラは歴史の継承という重要な役割をも担っていました。 当時のフラはメロディアスな音楽ではなく、チャント(詠唱)や太鼓の音とともに踊られていましたが、その踊りはチャントの内容を体現する、パントマイムのようなものだったそうです。 それぞれの手の動きが虹や雨、花、風に揺れるヤシの木、波の動きなどを意味し、踊り自体が一つの物語を構成しているのです。
ハワイの人々はこうしてチャントやフラに歴史を記録し、後世に伝えたというわけです。
■ わかりやすい!ハワイの歴史を学べる書籍
・ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)この本は、日本との交流に光をあてながら、楽園イメージの奥に横たわる、もう一つの現実を浮かび上がらせ、ハワイ文化の力強い流れを描き出しています。
・ハワイ・マナ―楽園の風物詩
ハワイ諸島の各島々の自然・文化・歴史・神話・歴史的建造物・食文化・観光地まで、すべての面で細かく分かりやすく記載されています。
・ハワイの教科書
「ワイキキのヤシの木には実がない」「オアフ島のカメハメハ王の像はレプリカ」など、有名観光スポットから歴史まで多彩なハワイの雑学知識をぎっしり詰め込んだ一冊。ハワイ通も、これからハワイに行く人も、読めば今度の旅行が120%楽しくなること間違いなし。
-終わりに
本当のフラというのは、一般に知られているより、ずっと精神的で奥深いものとなります。それぞれの手の動きが虹や雨、花、風に揺れるヤシの木、波の動きなどを意味し、踊り自体が一つの物語を構成しているのです。
フラ・ダンサーはまさに芸術家であり、また、文化の担い手であると言えるでしょう。