◼︎はじめに
フラダンスは、美しい衣装に身を包んだダンサーが優雅に踊る「エンターテイメントの一種」として認識されがちですが、ハワイアンの歴史・文化・精神が詰まった神聖な表現の形です。今回は、古典フラダンス「カヒコ」についてや、現代のフラダンスについてご紹介します。
◼︎古典フラダンス「カヒコ」とは?

(1) カヒコとは?
「カヒコ」という言葉には、「古典的な、はるか昔の」という意味があり、その名の通り古典的なフラです。ハワイで古くから伝えられてきた神話や、自然への感謝などをモチーフとしており、精霊や神にささげる神聖な踊りと捉えられています。
(2) カヒコの歴史と起源
カヒコは、多くの宗教的意味を持つ神話・伝説、神への賛歌を起源とし、王朝への賛歌、大地と自然への詩などハワイの歴史と文化の様々な要素を多く含んでいます。
◼︎カヒコの特徴と表現方法

(1) カヒコにおける音楽とリズムの役割
音楽は、フラと聞いて想像するメロディーではなく、チャントという詩に合わせ、イプヘケやパフなど伝統的な打楽器などを使っています。
(2) 振り付けと動作の特色
詠唱と歌唱を取り入れた踊りで、とても力強くいろいろな文化の儀式の際に見られる舞にも似ています。また、もともとは修行をつみ選ばれた人や男性しか踊ることのないものと言われていました。
◼︎カヒコの文化的な背景と意味

(1) ハワイアン文化との関わり
18世紀頃、フラダンスは「異教の儀式」とみなされ、公の場で踊ることが禁止されました。しかし、密かに踊り継がれハワイアンの精神の中で生き続け、19世紀後半ハワイ王国のカラカウア王により「フラはハワイの魂だ」と宣言され、フラダンスの復興が始まりました。
(2) 歴史的な推移と現代への継承
20世紀後半になると、フラダンスは世界的に人気が高まりました。現在は、世界中にフラダンス教室があり、多くの人々がハワイ文化を学びながらフラを楽しんでいます。
◼︎現代のフラダンスの違いは?
現代のフラダンスと呼ばれるのは「アウアナ」になります。「古い形式から解き放たれた」「新しいスタイルの」という意味と「漂う」という意味合いがあります。このアウアナは、形にそれほど捉われることなく自由に踊れ、音楽もウクレレやスチールギター、ピアノなどで演奏されるメロディーに、男女間の愛や自然への感謝の詞をのせた楽曲を使用します。